【IMO2017】2017年国際数学オリンピックの問題1【解答・解説】
2017年国際数学オリンピック(IMO2017)の問題1
なんとなく数学オリンピックの今年の問題を解いてみたくなったので挑戦してみた。問題は、数学オリンピック財団のサイト(http://www.imojp.org/challenge/)を参照しました。今回は、問題1の解答と解説をしていく。もし間違えていたら、優しく指摘してれると助かります。それと、もっと良い解法を教えてくれたら喜びます。
では、問題を見てみましょう。
問題1. をみたすような各整数に対して、数列を以下のように定める:
このとき、あるが存在してをみたすが無数にあるようなをすべて求めよ。
まずは観察と場合わけから
問題の数列の作り方は、平方数になったときだけルートをとり、それ以外は3を足していくことで作られている。慣れるために、いくつかの例でためしてみよう。
のとき、
のとき、
のとき、
のとき、
のとき、
という具合になる。3ずつ増えていくという特徴を活かすために、まずはをを法として分類してみる。
あるでとなる場合
まずは、平方数を調べる。
より、となる平方数は存在しないことがわかる。そのため、一旦あるでとなると、それ以降この数列に平方数は現れない。したがって、より後はすべて単調増加となるので、明らかに題意を満たさない。この観察結果から、がを法としたときに、どのグループに属するかを考えていけばよさそうだと指針がたてられる。
の場合
次は、の場合を考える。この場合は、任意のに対してであることが示せる。
実際、が3の倍数なら、も3の倍数である。
また、が平方数の場合は、を自然数としてとおくと、素因数分解の一意性からある自然数を用いてと表せる。したがって、この場合もとなる。
の場合は、の場合とは異なり、数列には明らかな上限が存在する。*1
正の整数列に上限と下限が存在するので、鳩ノ巣原理より少なくとも1つの自然数が存在して、となるが無数に存在する。
以上より、が3の倍数の場合は題意を満たす。
の場合
最後に、の場合を考える。数列を順番に作っていき、あるでとなれば、上に書いた証明から題意を満たさない。
そこで、すべてのについて、となるが存在すると仮定する。(以下でこの仮定から矛盾を導き、背理法により、いつか必ずあるでとなることを証明する。)
今回は、平方数の最小性に着目した証明方法をとることにした。
まずの内、最小の平方数をとおく。より小さな平方数は存在しないので、数列の定義から、の次の数列であるがの最小値となる。ここで、の最小性から、との間に、であるような数は存在しないはずである。ところが、次に示すように、そのような数を構成することができてしまうのだ。
仮定より、はある自然数を用いてと表せる。*2ここで、以下に定義する平方数を考える。
この平方数は、明らかにより小さい。また、
より、であるから、平方数は
を満たすが、このことは、が最小の平方数であることに反する。
よって、背理法により、の場合、あるでとなるので、題意を満たさない。
解答
以上をまとめて、題意を満たすは『3の倍数』である。