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【第12回関西すうがく徒のつどい】FoxQからの挑戦状1【解答】

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FoxQからの挑戦状1

挑戦状シリーズ第一弾です。今回は複数題にわけることで難易度調整してみました。みなさん、問題を楽しんでいただけたでしょうか?楽しんでいただけたなら、とっても嬉しいです。では、問題のおさらいです。

p,q,r素数k自然数とし次の式を考える。

p^2+(2^k q)^2=r^2……①

(1)k=1のとき、①式を満たすp,q,rを全て求めよ。
(2)k=2のとき、①式を満たすp,q,rを全て求めよ。
(3)k\ge 3のとき、①式を満たすp,q,rは存在しないことを示せ。

twitterの問題も張り付けておきます。

 

解答

pqが互いに素でないとすると、素数なのでp=q。また、左辺がpで割れるので、r=pとなるが、このとき、

p^2+4p^2=5p^2=p^2……(0.1)

となり、矛盾。また、p=2としても、同様にして矛盾が導かれる。よって、p2^k qは互いに素なので、①式の(p,2^kq,r)は原始ピタゴラス数となる。従って、互いに素な自然数s,t(s\gt t)を用いて、

p=s^2-t^2……(0.2)
2st=2^kq\Rightarrow st=2^{k-1} q……(0.3)
r=s^2+t^2……(0.4)

と表せる。

(1)の解答

k=1のとき、(0.3)式よりst=qなので、q素数であることに注意すると、

s=q,t=1……(1.1)

となる。また、(0.2)式より、

p=q^2-1=(q-1)(q+1)……(1.2)

ここで、p素数であるためには、q-1=1すなわち

q=2……(1.3)

でなくてはいけない。このとき、

p=q+1=3……(1.4)

更に、(0.4)式より、
r=q^2+1^2=2^2+1=5……(1.5)

より、求める答えは

(p,q,r)=(3,2,5)……(1.6)

(2)の解答

k=2のとき、(0.3)式より、st=2qなので、

s=q,t=2……(2.1)

このとき、(0.2)式より、

p=q^2-2^2=(q-2)(q+2)……(2.2)

ここで、p素数であるためには、q-2=1すなわち

q=3……(2.3)

でなくてはいけない。このとき、

p=3+2=5……(2.4)

更に、(0.4)式より、

r=q^2+2^2=3^2+2^2=13……(2.5)

より、求める解は、

(p,q,r)=(5,3,13)……(2.6)

(3)の解答

k\ge 3のとき、(0.3)式より、st=2^{k-1}qなので、互いに素なs,tとして次の3通りの可能性が考えられる。

(i)s=2^{k-1}q,t=1
(ii)s=q,t=2^{k-1}
(iii)s=2^{k-1},t=q

(i)の場合、(0.2)式より、

p=(2^{k-1}q-1)(2^{k-1}q+1)……(3.1)

は明らかに合成数なので、矛盾。

(ii)の場合、

p=(q-2^{k-1})(q+2^{k-1})……(3.2)

より、p素数であるためには、

q=2^{k-1}+1……(3.3)
p=2^{k-1}+q=2^k+1……(3.4)

でなければならない。ここで、3を法として考えると、(3.3)(3.4)式より、p,qのいずれかは3の倍数でなければならない。すなわち、p,q素数なので、どちらかは3となる。
まず、p=3だった場合、

3=2^k+1\Rightarrow k=1……(3.5)

となり矛盾。

次に、q=3だった場合、

3=2^{k-1}+1\Rightarrow k=2……(3.6)

となり矛盾。

(iii)の場合、

p=(2^{k-1}-q)(2^{k-1}+q)……(3.7)

より、p素数であるためには、

q=2^{k-1}-1……(3.8)
p=2^{k-1}+q=2^k-1……(3.9)

でなければならない。ここで、3を法として考えると、(3.8)(3.9)式より、p,qのいずれかは3の倍数でなければならない。

まず、p=3だった場合、

3=2^k-1\Rightarrow k=2……(3.10)

となり矛盾。

次に、q=3だった場合、

3=2^{k-1}-1\Rightarrow k=3……(3.11)

となる。このとき、

p=2^3-1=7……(3.12)

更に、(0.4)式より、

r=(2^{3-1})^2+q^2=2^4+3^2=25……(3.13)

となり、r=5^2となるから、r素数でないので矛盾。以上より、題意は示された。