流れる空の中で数学を。

とある数学好きの「手作りすうがく」と「気ままな雑記」。

2012マケドニアTSTの問題を解いてみた

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2012マケドニアTST

今日もtwitterで見かけた問題を解いてみた。以下の問題である。

 この問題、いかにもフェルマーの小定理を使ってくれと言わんばかりの顔をしていたので、そうしたら泥沼にはまった。もし、フェルマーの小定理を使って問題を解けた人がいたら教えてください。

解答

問題は、素数の組(p,q)であって、

(p+q)^p=(q-p)^{2q-1}……(1)

を満たすようなものを全て求めよである。まず、明らかに、

q \gt p

である。大事なことなので何度も言うがフェルマーの小定理を使うと泥沼にはまるので、式をじっと見てやる。すると、両辺はある自然数の冪乗になっていないといけないことに気づくので、p+qp-qはそれぞれある同じ自然数の冪乗でなければいけない。*1そこで、その自然数dとおく。まず、(1)式より、dは明らかに1ではない。つぎに、p+qp-qの冪を自然数k,l \; (k \gt l)とおくと、

p+q=d^k
p-q=d^l

となる。2式の和と差をとると、

2p=d^l(d^{k-l}+1)……(2)
2q=d^l(d^{k-l}-1)……(3)

となる。

2p,2qdが割り切れないこと

(2)式より、2p|d*2と仮定すると、素因数分解の一意性より*3

d=2p
d^{k-l}+1=1
\Rightarrow d^{k-l}=0

となりk \gt lより矛盾。よって、

2p\not|d

同様に、(3)式より、2q|d

d=2q
d^{k-l}-1=1
\Rightarrow d^{k-l}=2
\Rightarrow (2q)^{k-l}=2

ここで、q \gt pは共に素数であったので、q\ge 3となり矛盾。

p,qdが割り切れないこと

 2\not|dかつp|dと仮定すると、(2)式より、

d=p
d^{k-l}+1=2
\Rightarrow d^{k-l}=1

となり、k \gt lであったので矛盾。よって、 p\not|dである。

同様に、 2\not|dかつq|dと仮定すると、 2|(d^{k-l}-1)なので、(3)式より、

 d^{k-l}-1=2
 \Rightarrow d^{k-l}=3

より、

d=q=3
k=l+1

このとき、3より小さな素数2しかないので、p=2。ところが、(1)式より、

3^{(l+1)\times 2}=3^{l(2\times3-1)}
\Rightarrow 2(l+1)=5l
\Rightarrow 3l=2

この式を満たす自然数lは存在しないので、矛盾。よって、 q\not|dである。

2dが割り切れることと求める解

dが、pでもqでも割り切れないことが判明したので、残るは、2|dの場合である。このとき、(2)式より

d=2
l=1

である。従って、

p+q=2^k……(4)
p-q=2……(5)

下の式より、p=2とすると、q=0となるので矛盾。よって、p,qは奇素数である。(4)(5)式の和と差をとって、

2p=2^k+2
\Rightarrow p=2^{k-1}+1……(6)
2q=2^k-2
\Rightarrow q=2^{k-1}-1……(7)

ここで、k\gt l \ge 1であったので、k\ge 2である。また、(1)式より、

2^{kp}=2^{2q-1}
\Rightarrow kp=2q-1

より、pが奇素数であったので、kは奇数でなければならない。
k=3のとき、(6)(7)式より、

(p,q)=(5,3)

となり、これは題意をみたす。最後に、k \ge 5 のとき、kが奇数であったことに注意して、m \ge 2を整数としてk=2m+1とおくと、(7)式より、

q=2^{2m}-1
\Rightarrow q=(2^m-1)(2^m+1)

m \ge 2であったので、

2^m+1 \gt 2^m-1 \ge 3

となり、q合成数となり矛盾。以上より、求める解は、

(p,q)=(5,3)

のみである。

 

*1:素因数分解の一意性より、自明。

*2:a|b自然数a自然数bを割り切るという意味である。

*3:以後、同様の状況において、素因数分解の一意性については自明なので断らない。