2012マケドニアTSTの問題を解いてみた
2012マケドニアTST
今日もtwitterで見かけた問題を解いてみた。以下の問題である。
素数の組(p,q)であって,(p+q)^p=(q-p)^(2q-1)を満たすようなものを全て求めよ.(2012 マケドニア TST)
— 整数問題bot② (@handmade_math) August 29, 2019
この問題、いかにもフェルマーの小定理を使ってくれと言わんばかりの顔をしていたので、そうしたら泥沼にはまった。もし、フェルマーの小定理を使って問題を解けた人がいたら教えてください。
解答
問題は、素数の組であって、
……(1)
を満たすようなものを全て求めよである。まず、明らかに、
である。大事なことなので何度も言うがフェルマーの小定理を使うと泥沼にはまるので、式をじっと見てやる。すると、両辺はある自然数の冪乗になっていないといけないことに気づくので、とはそれぞれある同じ自然数の冪乗でなければいけない。*1そこで、その自然数をとおく。まず、(1)式より、は明らかにではない。つぎに、との冪を自然数とおくと、
となる。2式の和と差をとると、
……(2)
……(3)
となる。
でが割り切れないこと
(2)式より、*2と仮定すると、素因数分解の一意性より*3、
となりより矛盾。よって、
同様に、(3)式より、
ここで、は共に素数であったので、となり矛盾。
でが割り切れないこと
かつと仮定すると、(2)式より、
となり、であったので矛盾。よって、 である。
同様に、 かつと仮定すると、 なので、(3)式より、
より、
このとき、より小さな素数はしかないので、。ところが、(1)式より、
この式を満たす自然数は存在しないので、矛盾。よって、 である。
でが割り切れることと求める解
が、でもでも割り切れないことが判明したので、残るは、の場合である。このとき、(2)式より
である。従って、
……(4)
……(5)
下の式より、とすると、となるので矛盾。よって、は奇素数である。(4)(5)式の和と差をとって、
……(6)
……(7)
ここで、であったので、である。また、(1)式より、
より、が奇素数であったので、は奇数でなければならない。
のとき、(6)(7)式より、
となり、これは題意をみたす。最後に、 のとき、が奇数であったことに注意して、を整数としてとおくと、(7)式より、
であったので、
となり、が合成数となり矛盾。以上より、求める解は、
のみである。
一般化されたマスターデーモンの解のリスト
Amazon.co.jp: Yoshiki Ueoka:作品一覧、著者略歴
一般化されたマスターデーモン
今回扱う一般化されたマスターデーモンは次の問題である。
自然数に対して、
が自然数となうるようなを全て求めよ。
このような解の集合を以後、
と書くことにする。
は解なしという意味である。*1
今回公開する解のリストは、計算過程で素因巣分解ができたものの内、数が大きくなりすぎないものを集めたものである。よって、リストは一部の例外をのぞいて不完全である。不完全な場合は「」記号で示しておく。*2つまり、「」記号がないものはそれで全ての解である。ちなみに、最小解はリストの最初に必ず入っている。また、証明は過去記事を見ればほとんど明らかなので省略する。ちなみに、がになっているが、この違いは簡単な不等式の評価ですむ。
今回紹介するリストは、までと、興味深いの場合である*3*4。
なお、万が一リストに間違いを見つけた方がいたら優しく教えてほしい。
までのリスト
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
までのリスト
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
までのリスト
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
までのリスト
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
までのリスト
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
の場合
【第1回】FoxQからの出題第1回の解答【2019/08/25出題】
FoxQからの出題(第1回)
twitterにて2019/08/25に出題した以下の問題の解答例をあげます。
[FoxQからの出題]
— FoxQ@固定ツイにて数学問題出題中 (@foxq_stm) August 25, 2019
19の倍数でない自然数n≧2に対して、
(8^n+1)/n^3
が自然数となるようなnを全て求めよ。 pic.twitter.com/vE4V8hLbQd
小さな
問題の19の倍数の条件は実は外せるので、外して解く。つまり、
以上の自然数に対して、
が自然数になるようなを全て求めよ。
まず、が偶数であると仮定すると、分母が偶数、分子が奇数になって題意の数が自然数にならないので矛盾。よって、は奇数である。
小さなについて見てみると、で,でとなるので、は1つの解になっている。これ以外に解がないとあたりをつけて証明する方針で行く。
因数分解
簡単のためとして
……(1)
……(2)
とおくと、
……(3)
と分解できる。このとき、自然数と奇数に対して、を
……(4)
とおくと、は自然数となっている。これを用いて、(3)式を書き直すと、
と表せる。まず、 がでちょうど一回ずつ割り切れることを証明する。次に、がで割り切れないことを証明する。これにより、の最小の素因数の候補がとなる。
がでちょうど一回ずつ割り切れること
以後、とする。まず、フェルマーの小定理より、
……(5)
なので、
……(6)
である。よって、がでちょうど一回だけ割れることを示せばよい。であったので、法をとして
……(7)
より、 はで少なくとも一回は割り切れる。
次に、法をとして
……(8)
なので、 はでちょうど一回だけ割り切れる。
がで割り切れないこと
フェルマーの小定理((5)式)より、
……(9)
である。法をとして
……(10)
ここで、とは互いに素であったので、
……(11)
が言えた。つまり、はで割り切れない。
分子・分母がで何回割れるか
以上より、
……(12)
であるから、とするとき、(1)式の分子はで回割り切れる。
分母はで回割り切れるので、題意を満たすためには次の不等式が成り立つ必要がある。
……(13)
が以外の素因子を持たないこと
が以外の素因子を持たないことを証明する。
のより大きいの最小の素因数をとし、をより大きな素因数の積のみからなる自然数とする。つまり、とは互いに素である。このとき、を自然数としては、
……(14)
と表せる。まず、
……(15)
とおくと、
……(16)
である。法をとしてフェルマーの小定理を使うと、なので、
……(17)
となる。仮定より、なので、
……(18)
である。また、フェルマーの小定理より、
……(19)
であった。ここで、
……(20)
が成り立つ最小の自然数をとすると、(18)(19)式より、ある自然数が存在して、
……(21)
……(22)
と表せる。(21)式の両辺にをかけると、
……(23)
を得る。ここで、Mの素因子は全てより大きいか、またはなので、ある自然数が存在して、
……(24)
となる。これを(21)式に代入して、
……(25)
を得る。ここで、場合分けを行う。
①の場合
となり矛盾。
②の場合
であったので、
……(26)
を得る。(14)(16)式でのとき、
……(27)
を得るが、はより大きな素数なので矛盾。以後、、とすると、
……(28)
を得る。これより、
……(29)
でなければいけないが、(3)式より、は
……(30)
と因数分解できるので、(26)式に注意すると、のときの議論と全く同様にして、がでちょうど回だけ割り切れることがわかる。ところが、分母はなので、で3m回割り切れる。(28)式より、(1)式が自然数となるためには、次の不等式が成り立つ必要がある。
……(31)
これを満たす自然数は存在しないので矛盾。したがって、はよりおおきな素因子を持たない。よって、求める解は、
のみであることが示された。
2009スペイン数学オリンピック
2009スペイン数学オリンピック
twitterで見かけた以下の問題を解いてみた。たまには簡単めの問題を解くのもいいだろう。
整数の組(x,y)であって,x^2-y^4=2009を満たすようなものを全て求めよ.(2009 スペイン数学オリンピック)
— 整数問題bot② (@handmade_math) August 28, 2019
解答
問題は、
を満たすような整数の組を全て求めよである。
問題がの形になっているので、として一般性を失わない。まず、
と素因数分解できる。次に
なので、 とより、可能な因数分解は
の通りである。ところで、因数の差を見ると、
……(1)
となっている。そこで因数の差を調べると、
となり、
のみが(1)式の条件を満たす、また同時にであることもわかる。このときである。
として一般性を失わないとしていたので、求める整数解は、
である。ここでは、複号任意である。
1997南アフリカ数学オリンピックの問題を解いてみた。
1997南アフリカ数学オリンピック
たまには簡単めのこんな問題を解いてみました。方針は、ひたすらmodをとるだけです。
0以上の整数の組(x,y)であって,1+3^x=2^yを満たすようなものを全て求めよ.(1997 南アフリカ数学オリンピック)
— 整数問題bot② (@handmade_math) August 28, 2019
解答
問題は、
であるような正の整数の組を全て求めよである。
のとき、より、求める解の1つは
以後、
とする。のとき、となるがこれを満たすは明らかに存在しない。よって、
法をとして、
より、は偶数で、
とかける。したがって、
ここで、のとき、は明らかに求める解の1つである。よって、
は求める解のうちの1つである。以後、 とする。
法をとして
これより、は奇数で
とおける。したがって、
法を9として、
これより、kはの倍数である。そこで、
とおくと、
最後に法をとすると、
となり矛盾。よって、の解は存在しない。
以上より、求める解は、
のみである。
整数問題botの自作問題を解いてみた1
整数問題botの自作問題
昨日見かけた問題を解いてみた。難易度、易とあるがとてもそうは思えない、歯ごたえのある問題だった。ひょっとすると、別の解法があるのかも。
[136]5^a+12^b=13^cを満たす正の整数(a,b,c)の組を求めよ(自作問題、易)
— 整数問題bot (@seisu_bot) August 25, 2019
範囲の絞り込み
問題は、
……(1)
を満たす正の整数の組を全て求めるというもの。
まずは、の小さな値から絞り込んでいく。
とすると、
となり矛盾。よって、。
次に、とすると、
法をにとると、のとき、
となり矛盾。とき、
となりやはり矛盾。よって、。
最後にとおき、写像を次の式によって定義する。
となったとすると、
……(2)
これは、のとき、一般性を失わずに次のように変形できる。*1
ここで、
と仮定すると*2、とは互いに素なので
となるので、法をにとると、
となり矛盾。よって、である。(2)式より、直ちにが従う。
よって、は単射である。したがって、のとき
は唯1つの解となる。以後、とする。まずは、1組の解
が求まった。
原始ピタゴラス数へ
より、
これより、に対してが従うので、は偶数である。そこで、自然数をとって
とおく。次に法をとして、
より、を正の整数として
……(3)
が従う。次は、法をにして、
ここで、であったので、
これより、に対してが従うので、も偶数である。そこで、自然数をとって
とおく最後に法をとして、
ここで、に対して、となり、また、に対して、となるので、は偶数である。(3)式より、も偶数となるので、自然数をとって、
とおける。以上をまとめて、(1)式に代入すると、
となり、は全て互いに素なので、これは原始ピタゴラス数となっている。
原始ピタゴラス数を紐解く
原始ピタゴラス数は、互いに素で偶奇の異なる2数によって、
……(4)
……(5)
……(6)
と表せる。(4)(5)式より、とが互いに素なことに注意すると、
……(5)
……(6)
となる。これを(4)式に代入すると
ここで、
は1つの解になっている。このとき、
となっており、
となる。以上をまとめると、
であり、これに対応して、解
が求まる。
これ以外に解のないこと
数学的帰納法を用いて、上述した解以外の解が存在しないことを証明する。
まず、(4)(5)(6)式から、のとき、
はの冪乗ではないので不適。
ここで、のとき、
なので、のとき、とを入れ替える必要がある。
のとき、関数を
と定義すると、微分して
となるが、
である。また、であるから、のとき、は単調増加関数である。特に
であったので、のとき、
である。
以上の観察から、が奇数のとき、
が偶数のとき、の場合、
を繰り返すことが予想される。すなわち、
が予想される。実際、
ここで、
より、に対して、
が示された。よって、のとき、はより大きくで割り切れないので、
はの冪乗ではない。
また、直接確認したようにもの冪乗ではない。
解答
よって、求める解は
である。
2009JMO本選1を解いてみた
追記(2019/08/25):(4)式を少し修正しました。
2019JMO本選1
どうも「おはようございます」すると、「とある自然数を全て求めなければいけない」呪いにかかったようなので、以下の問題を解く。
[15]8ⁿ+nが2ⁿ+nの倍数となるような自然数nをすべて求めよ(2009年JMO本選1、易)
— 整数問題bot (@seisu_bot) August 24, 2019
解答
問題は
……(1)
が「自然数になる場合を求めよ」である。
まずは、をで割る。すると、
……(2)
となるので、
……(3)
が整数となるようなを求めればよい。
……(4)
とおく。で微分して、に注意して、
ここで、なので、 でより、はで単調増加関数となる。
ところで、
なので、では正となる。従って、で
となる。よって、の場合のみを調べればいい。(2)式より、
とおくと、
上に現れている分数は全て既約分数である。よって、(2)式の右辺が整数になるの場合を調べれば良い。
したがって、求めるは
である。