FoxQからの出題(第1回)
twitterにて2019/08/25に出題した以下の問題の解答例をあげます。
[FoxQからの出題]
— FoxQ@固定ツイにて数学問題出題中 (@foxq_stm) August 25, 2019
19の倍数でない自然数n≧2に対して、
(8^n+1)/n^3
が自然数となるようなnを全て求めよ。 pic.twitter.com/vE4V8hLbQd
小さな
問題の19の倍数の条件は実は外せるので、外して解く。つまり、
以上の自然数
に対して、
が自然数になるようなを全て求めよ。
まず、が偶数であると仮定すると、分母が偶数、分子が奇数になって題意の数が自然数にならないので矛盾。よって、
は奇数である。
小さなについて見てみると、
で
,
で
となるので、
は1つの解になっている。これ以外に解がないとあたりをつけて証明する方針で行く。
因数分解
簡単のためとして
……(1)
……(2)
とおくと、
……(3)
と分解できる。このとき、自然数と奇数
に対して、
を
……(4)
とおくと、は自然数となっている。これを用いて、(3)式を書き直すと、
と表せる。まず、 が
でちょうど一回ずつ割り切れることを証明する。次に、
が
で割り切れないことを証明する。これにより、
の最小の素因数の候補が
となる。
が
でちょうど一回ずつ割り切れること
以後、とする。まず、フェルマーの小定理より、
……(5)
なので、
……(6)
である。よって、が
でちょうど一回だけ割れることを示せばよい。
であったので、法を
として
……(7)
より、 は
で少なくとも一回は割り切れる。
次に、法をとして
……(8)
なので、 は
でちょうど一回だけ割り切れる。
が
で割り切れないこと
フェルマーの小定理((5)式)より、
……(9)
である。法をとして
……(10)
ここで、と
は互いに素であったので、
……(11)
が言えた。つまり、は
で割り切れない。
分子・分母が
で何回割れるか
以上より、
……(12)
であるから、とするとき、(1)式の分子は
で
回割り切れる。
分母はで
回割り切れるので、題意を満たすためには次の不等式が成り立つ必要がある。
……(13)
が
以外の素因子を持たないこと
が
以外の素因子を持たないことを証明する。
の
より大きい
の最小の素因数を
とし、
を
より大きな素因数の積のみからなる自然数とする。つまり、
と
は互いに素である。このとき、
を自然数として
は、
……(14)
と表せる。まず、
……(15)
とおくと、
……(16)
である。法をとしてフェルマーの小定理を使うと、
なので、
……(17)
となる。仮定より、なので、
……(18)
である。また、フェルマーの小定理より、
……(19)
であった。ここで、
……(20)
が成り立つ最小の自然数をとすると、(18)(19)式より、ある自然数
が存在して、
……(21)
……(22)
と表せる。(21)式の両辺にをかけると、
……(23)
を得る。ここで、Mの素因子は全てより大きいか、または
なので、ある自然数
が存在して、
……(24)
となる。これを(21)式に代入して、
……(25)
を得る。ここで、場合分けを行う。
①の場合
となり矛盾。
②の場合
であったので、
……(26)
を得る。(14)(16)式でのとき、
……(27)
を得るが、は
より大きな素数なので矛盾。以後、
、
とすると、
……(28)
を得る。これより、
……(29)
でなければいけないが、(3)式より、は
……(30)
と因数分解できるので、(26)式に注意すると、のときの議論と全く同様にして、
が
でちょうど
回だけ割り切れることがわかる。ところが、分母は
なので、
で3m回割り切れる。(28)式より、(1)式が自然数となるためには、次の不等式が成り立つ必要がある。
……(31)
これを満たす自然数は存在しないので矛盾。したがって、
は
よりおおきな素因子を持たない。よって、求める解は、
のみであることが示された。