流れる空の中で数学を。

とある数学好きの「手作りすうがく」と「気ままな雑記」。

フェルマーの最終定理の初等的証明(修正2版)

修正(2025/05/11,15:59)

(Xにて@n2698151436255さんと@bakobakobakoshi さんから、論証のミスや分かりにくいところを、指摘していただきました。ありがとうございます。)

 

修正(2025/05/11,16:59)

(Xにて@Cat76599648さんから、論証のミスを指摘していただきました。ありがとうございます。)

 

フェルマーの最終定理の初等的証明

この記事では、本日(2025/05/11)、僕が投稿した以下のプレプリントについての詳細な解説をします。

 

フェルマーの最終定理

まず、フェルマーの最終定理とは、自然数 n \ge 3について、以下の式を満たす自然数の組x,y,zが存在しないという命題です。

 x^n +y^n = z^n…(1)

ここで、2 \le x \lt y \lt zとしても一般性を失わないので、以後この条件を使います。

 

背理法

フェルマーの最終定理が成り立たないと仮定すると、 x^n +y^n = z^nを満たす自然数の3つ組x,y,zが存在することになります。この過程から矛盾が起こることを利用します。

 

重要な不等式

まず、以下の不等式がk=1,\cdots,n-1に対して成立することを示します。

z^k \le x^k+y^k…(2)

 

不等式(2)に背理法を用います。つまり、以下の不等式がk=1,\cdots,n-1に対して成立すると仮定します。

z^k \gt x^k+y^k…(3)

 

このとき、仮定より、

z^{n-1} \gt x^{n-1}+y^{n-1}…(4)

z \gt x+y…(5)

が成り立つはずですが、両辺に(5)式をかけると、

 

z^n \gt z(x^{n-1}+y^{n-1})

z^n \gt (x+y)(x^{n-1}+y^{n-1})

z^n \gt x^n+y^n+y x^{n-1}+x y^{n-1}…(6)

となります。ここで、フェルマーの最終定理に対する背理法の仮定から、

z^n=x^n+y^n \gt x^n+y^n+y x^{n-1}+x y^{n-1}

0 \gt y x^{n-1}+x y^{n-1}\gt 0…(7)

となり矛盾します。よって、k=n-1に対して、この式は成立しません。従って、背理法を考える不等式の個数が、k=1,\cdots,n-1からk=1,\cdots,n-2

に減りました。

 

このようにして、式(2)がk=n-m,n-(m-1),\cdots,n-1まで成立したと仮定し、数学的帰納法を用います。つまり、

z^{n-m} \le x^{n-m}+y^{n-m}…(8)

まで成立している状況で、k=1,2,\cdots,n-(m+1)について、不等式(3)が成り立つか調べます。背理法の仮定より、

z^{n-(m+1)} \gt x^{n-(m+1)}+y^{n-(m+1)}…(9)

z \gt x+y…(10)

ですが、これらの不等式をかけ合わせると、

z^{n-m} \gt z(x^{n-(m+1)}+y^{n-(m+1)})

z^{n-m} \gt (x+y)(x^{n-(m+1)}+y^{n-(m+1)})

z^{n-m} \gt x^{n-m}+y^{n-m}+y x^{n-(m+1)}+x y^{n-(m+1)}\gt x^{n-m}+y^{n-m}…(11)

となが、これは不等式に対する数学的帰納法に矛盾する。

従って、k=1,\cdots n-1に対して、

z^k \le x^k+y^k…(12)

が成立します。

 

不等式の等号に関する注意

k=1,\cdots,n-1のとき、(12)式で等号が成立したと仮定します。

つまり、

z^{n-1}= x^{n-1}+y^k{n-1}…(13)

となったと仮定すると、両辺にz=x+yをかけて、

z^{n} = (x+y) ( x^{n-1}+y^{n-1})…(14)

z^{n} = x^{n}+y^k{n}+yx^{n-1}+zy^{n-1}…(14)

 0 = yx^{n-1}+zy^{n-1} …(12)

となり、矛盾します。

よって、

z^{n-1} \lt x^{n-1}+y^{n-1}

z^{n-1} \le x^{n-1}+y^{n-1}-1…(13)

が成立します。

 

前節と同様にして、不等号の等号に関して数学的帰納法を用いれば、k=1,\cdots,n-1に対して、

z^k \lt x^k+y^k

z^{n-1} \le x^{n-1}+y^{n-1}-1…(14)

が成立します。

また、k=0の場合にも拡張出来て、

1\le 1+1-1 …(15)

も成り立ちます。

不等式の総和による評価とフェルマーの最終定理の証明

(14)(15)式について、両辺の総和をとると、等比級数の和の公式より、

 

\sum_{k=0}^{n-1} z^k \le \sum_{k=0}^{n-1} x^k +\sum_{k=0}^{n-1} y^k - (n-2)

\frac{z^n-1}{z-1} \le \frac{x^n-1}{x-1} +\frac{y^n-1}{y-1} - (n-2)

\frac{z^n-1}{z-1} \lt \frac{x^n-1}{x-1} +\frac{y^n-1}{x-1} - (n-2)

 (z^n-1)(\frac{x-1}{z-1}) \lt (x^n+y^n-2) - (n-2)(x-1)…(16)

ここで、フェルマーの最終定理に対する背理法の仮定より、

 (z^n-1)(\frac{x-1}{z-1}) \lt (z^n-2) - (n-2)(x-1)

 0 \lt (\frac{z^n-1}{z^n-2})(\frac{x-1}{z-1}) \lt - (n-2) \frac{x-1}{z^n-2}…(17)

 0 \lt -(n-2)(x-1)(z^n-2)

 0 \lt -(n-2)

 0 \lt - (n-2)

 n \lt 2

ここで、n \gt 2となることがフェルマーの最終定理の前提であったので、これは明らかな矛盾である。

 

以上から、背理法により、フェルマーの最終定理を初等的に証明できた。

 

ビール予想の証明

ビール予想も同様の方法で証明できる。

ビール予想については、OSFのプレプリントに書いてあります。

また、今後の記事でも説明する予定ですので、お待ちください。

osf.io