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ディオファントス近似のプログラムを書いてみた【tan1°を有理数で近似する試み】

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ディオファントス近似

ディオファントス近似とは、ざっくり言うと無理数有理数で近似する方法である。*1
例えば、円周率\piについては、

\pi \simeq \frac{355}{113}=3.1415929204...
\pi \simeq \frac{103993}{33102}=3.141592653011903...

等がある。

プログラム

プログラムを書くにあたって、はじめての数論31章と下記のサイトを参考にしました。ありがとうございます。

qiita.com

作成したプログラムは下記にて公開しているので、改変自由でご自由にお使いください。

github.com

使い方はalphaに近似したい無理数を代入し、Nの値をいろいろと変えていくと、既約分数による近似が得られます。Nの値が大きい程、精度は良くなりますが計算時間がかかります。

いくつかの例

今回のプログラムで計算した例をいくつか紹介する。以下は、N=10,10^2,10^3,10^4で計算した結果である。*2なるべく精度の高い方から順に書いておく。

\sqrt{13}=3.605551275463989...
         \simeq \frac{23382}{6485}=3.60555127216665384...
         \simeq \frac{649}{180}=3.6055555555555556...
         \simeq \frac{256}{71}=3.6056338028169015...
         \simeq \frac{18}{5}=3.6

円周率の例も再現できた。

 \pi \simeq \frac{355}{113}
     \simeq \frac{22}{7}=3.142857142857143...

ここからは、未知の領域へ。まずは、ネイピア数

\mathrm{e} = 2.718281828459045...
   \simeq \frac{23225}{8544}=2.7182818352059925...
   \simeq \frac{25946}{9545}=2.7182818229439496... 
   \simeq \frac{1457}{536}=2.718283582089552...
   \simeq \frac{193}{71}=2.7183098591549295... 
   \simeq \frac{19}{7}=2.7142857142857144... 

無理数\tan 1^{\circ}*3も敢えて有理数で近似してみた。1/57で近似できたのは驚きだった。

\tan 1^{\circ} = 0.017455064928217585...
            \simeq \frac{169}{9682}=0.0174550712662673...
            \simeq \frac{100}{5729}=0.017455053237912375...
            \simeq \frac{1}{57}=0.017543859649122806...

最後に、\pi^{\mathrm{e}}{\mathrm{e}}^{\pi}

\pi^{\mathrm{e}}=22.45915771836104...
      \simeq \frac{158921}{7076}=22.459157716223856...
      \simeq \frac{2201}{98}=22.459183673469386...
      \simeq \frac{1370}{61}=22.459016393442624...
      \simeq \frac{45}{2}=22.5

{\mathrm{e}}^{\pi}=23.140692632779263...
     \simeq \frac{10691}{462}=23.14069264069264... 
     \simeq \frac{1481}{64}=23.140625  
     \simeq \frac{162}{7}=23.142857142857142...  

こんな感じに、いろんな無理数を近似することができます。みなさんも暇でやることがない時は、このプログラムを使って、いろんな無理数有理数で近似して遊んでみてください。それでは。

*1:はじめての数論31章より。

*2:小数点以下切り捨てている部分は四捨五入してある。

*3:2006年京都大学の入試問題より