空間中の円の決定方法
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事始めと問題
twitterのNAKさんが、空間中の円の決定問題についてツイートしていたので、解いてみました。以下のツイートです。
3点と中心がわかっていれば空間上の円の方程式を出せると思うんだけど…全然わからん。数学弱いんだよ…。
— NAK@(; ・`д・´) (@nakscpcgoca) 2021年1月21日
この記事では、3つの条件下で空間中の円の決定問題を解いてみます。
中心と1点と法線ベクトルが分かっている場合
中心の位置ベクトルをとする。1点をとする。
このとき、中心がの円の方程式は、半径をとすると、
……①
であるので、この円が点を通るので、半径は、
と求まる。
円の存在する平面の法線ベクトルをとすると、
……②
これから、の座標を変数で表せる。
決定されたを用いて、空間中の球が方程式①により決定される。②式と連立して、座標を消去したものが、平面に射影した円の方程式となり、その各点に対して、求める円の座標を②式で計算できる。
半径と2点と円の平面の法線ベクトルがわかっている場合
2点の内、一点を原点とする三次元座標をとると、既知の情報は、半径と2点を通ること、および、円が与えられた法線ベクトルに垂直な平面内にあることである。このとき、円の中心の位置ベクトルをとして円の方程式を書くと、
……①
与えられた2点を通ることから、
……②
を消去すると、
を得る。ここで、実数を
と定義しておく。すると、
……③
次に、円のある平面内に、円の中心もあるので、
3次元空間中の円を考えているので、と設定しておくと、
……④
ここで、実数を
とおいた。④を③に代入して、
……⑤
ここで、実数を
で定義した。すると、④式より、
そして、②式より、
なので、
これは、についての2次方程式なので、中心の座標は2つあり、円は2通り考えられる。について解くと、2次方程式の解の公式より、
従って、各に対して、④⑤式より、が決定できる。与えられた半径と中心の位置ベクトルが求まったので、球の方程式は、①となる。
この式と法線ベクトルの式を用いて、変数を消去すると、平面に射影した円の方程式が得られ、同じ式を用いることで、求める円の座標も求まる。
3点が与えられている場合
3点の内、座標の値が最も値が小さいものが原点になるように、座標を取り直す。すると、3点はと表せる。全ての点を適切に平行移動することで、一般性は失われない。
この3点により、円の存在する平面が決定されるので、その平面の法線ベクトルに平行なベクトルは、
と計算できる。円上の点の位置ベクトルをとすると、円はこのベクトルに垂直なので、
……①
また、円の中心の位置ベクトルを、半径をとすると、
……②
となる。円上の3点が1直線上にあることはないので、位置ベクトルは平行ではないので、この2つベクトルの線形結合で中心の位置ベクトルを表すことができる。すなわち、ある実数を用いて
……③
と表せる。ここで、座標軸の取り方から、
である。円の中心の位置ベクトルは、平面の法線ベクトルに垂直なので、
……④
ここで、実数を
で定義した。
また、円は原点を通るので、
……⑤
となる。従って、中心の位置ベクトルを決定できれば、円の半径がこの式により求まる。
②式と連立して、
となる。円は、点を通るので、
④式をに代入して、
以上より、3点の座標からが求まったので、④式よりが求まり、結局、円の中心の位置ベクトルが③式により、求まる。 から半径が、⑤式により求まるので、これらの量を用いて、球の方程式は②式により決定される。
この式と法線ベクトルの式を用いて、変数を消去すると、平面に射影した円の方程式が得られ、同じ式を用いることで、求める円の座標も求まる。