流れる空の中で数学を。

ある数学人間の見た世界の記録。数学は趣味でやってます。そろそろ整数論を中心に数学の専門書を読んでみたい。

【割り算ネタ】2から11までの数で割れ切れるか、簡単に判定する方法

はじめに

『私は計算が苦手だ』

そんなあなたに、今回は割り算のちょっとした裏技を紹介しようと思う。
もちろん、計算が得意な人も、知ってるとさらに得すると思う。

今回紹介するのは、ある自然数2,3,4,5,6,7,8,9,10,11の数で割り切れるか楽に判定する方法だ。「楽に」というのは、なるべく計算する量を減らすという意味だ。例えば、39で割れるか調べたい場合には、とある足し算を繰り返すだけでいいし、2,4,5,8,10の場合は、ある桁数より上の桁の数は無視して調べられるといった具合だ。

たいていの人は小学校で、2,5,10で割り切れるか判定する方法を聞いたことがあるだろう。2,5,10で割り切れるか調べる方法が一番知られているとして、知名度順に割る数を並べると、おそらく、

  \{ 2,5,10 \} \gt \{ 4,8 \} \gt \{ 3,9 \} \gt \{ 11 \} \gt \{ 7 \}

という順番になると思う。特に、7で割り切れるかの判定方法は、本で見たことなかったので、今回の記事のために作ってみた。便利さはともかくとして、そこそこレアな方法だと思う。
今回の記事では、割る数が2から11のすべての場合の判定方法を紹介するので、なんとなく素因数分解したくなったときには、ぜひ試してほしい。
そして、この記事を読み終えるころには、整数問題のちょっとした問題とかも作れたりするようになるだろう。

2、4、5、8、10で割り切れるか判定する方法

ある自然数があったとき、2,4,5,8,10のどれかで割れるか調べたいとする。
これらの数は共通して、割られる数の下1桁~下3桁までを調べればいい。

  2で割り切れる ⇔ 1の位が0,2,4,6,8
  4で割り切れる ⇔ 下2桁が4で割り切れる
  5で割り切れる ⇔ 1の位が05
  8で割り切れる ⇔  下3桁が8で割り切れる
 10で割り切れる ⇔  1の位が0

これらを証明してみよう。
まず、割られる自然数N1の位とそれ以外に分けて
 N=10a+b
と表す。ここで、a,b0以上の整数で、b0から9のいずれか。
 N=2×5a+b
より、第一項が2の倍数なので、後は、1の位の数であるb2で割り切れれば(つまり、1の位が0,2,4,6,8ならば)、自然数N2で割り切れる。
同様に、5で割り切れるかどうか調べたいときも、
 N=5×2a+b
より、b5の倍数(つまり、1の位が0,5ならば)、自然数N5で割り切れる。
ここまでの証明のポイントになっているのは、10=2×5と分解できることだ。そのため、25で割れ切れるか調べたいときは、10の位より上の桁は計算に無視していい。

次に、4で割れ切れるか調べる方法について説明する。この場合は、下2桁を調べる必要がある。それは、25のときと事情が違って、104で割り切れないからだ。ここでは、10の代わりに100の分解を使うことになる。つまり、
 100=10×10=(2×5)×(2×5)=4×25
と表せることに注目する。割られる数N1の位と10の位とそれ以外に分けて、
 N=100a+10b+c
と表す。ここで、a,b,c0以上の整数で、b,c0~9のいずれか。100=4×25より、
 N=4×25a+10b+c
と表せることより、第1項は4の倍数なので、10b+c4で割り切れればN4で割り切れる。つまり、自然数Nの下2桁が4で割り切れれば、N4で割り切れる。

8で割り切れるかどうかを調べる場合は、4で割り切れるかどうかを調べたときと同様にして、1000の分解(1000=10×100=(2×5)×(4×25)=8×125)を使って証明できる。

最後に、ある自然数N10(=2×5)で割り切れるかを調べるには、1の位が0の場合に限る。10で割り切れるには、2でも5でも割り切れる必要があるので、これら両方の場合に許される1の位の数は0に限られるからだ。

3、9で割り切れるか判定する方法

3,9で割り切れるか判定する方法は次の通り。

 3で割りきれる ⇔ 各位の数の和が3で割り切れる
 9で割り切れる ⇔ 各位の数の和が9で割り切れる

試しに、1719で割り切れるかやってみる。このとき、各位の和は
 1+7+1=9
9の倍数になるので、3でも9でも割り切れる。(実際、171=19×9となる。)
もう少し大きな数の例で、12345の場合は、
 1+2+3+4+5=15
 1+5=6
より、3で割り切れる。(実際、12345=3×4115=3×5×823)

まず、3で割り切れるかどうかの判定方法から証明してみよう。2,4,5,8,10で割り切れるかどうかを調べた時のことを振り返ると、1,10,100,1000,……という「単位」が2,4,5,8で割り切れるかどうかがポイントになっていた。
そこで、1,10,100,1000,……3で割ってみた場合を調べることから始める。すると、
 1=3×0+1
 10=9+1=3×3+1
 100=99+1=3×33+1
 1000=999+1=3×333+1
 ……
となる。つまり、10のべき乗(10^n)3で割ると、1余る数になっている。
そこで、あるn+1桁の自然数N
 N=a_n×10^n+a_{n-1}×10^{n-1}+……+a_1×10^1+a_0
と表す。ここで、整数a_j0から9のいずれか。ここで、100=3×33+1等を使うと、
 N=3×(33…3×a_n+3……3×a_{n-1}+……+3×a_1)+(a_n+a_{n-1}+……+a_0)
と表せる。ここで、第一項は3の倍数なので、残りのa_n+a_n-1+……+a_03で割り切れれば自然数N3で割り切れる。つまり、自然数Nの各位の数の和が3の倍数ならば、自然数N3の倍数になる。

同様に、9で割れるかどうか判定する場合は、
 1=9×0+1
 10=9+1
 100=99+1=9×11+1
 1000=999+1=9×111+1
 ……
を用いて、
 N=a_n×10^n+a_{n-1}×10^{n-1}+……+a_1×10^1+a_0
   =9×(11…1×a_n+1……1×a_{n-1}+……+1×a_1)+(a_n+a_n-1+……+a_0)
より、第1項が9の倍数なので、残りのa_n+a_n-1+……+a_19で割り切れればN9で割り切れる。つまり、自然数Nの各位の数の和が9の倍数ならば、自然数N9の倍数になる。

11で割り切れるか判定する方法

11で割り切れるか判定する方法も、39の場合とそこそこ似ている。

 11で割り切れる ⇔ 「奇数桁の数の和」ー「偶数桁の数の和」が11で割り切れる

試しに、9185の場合だと、
 (5+1)-(9+8)=6-17=-11
より、918511で割り切れる。(実際、9185=5×11×167)
応用問題を1つやってみよう。


【問題】下3桁が321自然数で、11で割り切れる最小の数は何か。
【回答】32111の倍数でないので、4桁の数を調べればいい。
千の位をxとして、奇数桁の和ー偶数桁の和が11の倍数となればいいので、
 (1+3)-(x+2)=2-x=0
よって、2321が答え。(実際、2321=11×211。)

さて、この判定方法を証明してみよう。1,10,100,……11の倍数を使って表してみる。
      1=1
    10=11-1
  100=10×10=(11-1)×(11-1)
        =11の倍数+1
1000=100×10=(11の倍数+1)×(11の倍数-1)
        =11の倍数-1
10000=1000×10
        =11の倍数+1
という風に、10^nは、
 10^n= 11の倍数+1 (nが偶数の時)
    10^n=11の倍数-1 (nが奇数の時)
となる。よって、n+1桁の自然数Nは、
 N=a_n×10^n+a_{n-1}×10^{n-1}+……+a_1×10^1+a_0
    =11の倍数+( (-1)^n×a_n+(-1)^{n-1}×a_{n-1}+……-a_1+a_0 )
    =11の倍数+( a_0+a_2+……) - (a_1+a_3+…)
より、( a_0+a_2+……) - (a_1+a_3+…)11で割り切れれば、N11で割り切れる。つまり、自然数Nについて、「奇数桁の数の和」ー「偶数桁の数の和」が11で割り切れれば、自然数N11で割り切れる。

7で割り切れるか判定する方法

さて、ここまでで7を除いて、2から11までの数で割りきれるかの判定方法を紹介した。なぜ7を一番最後に持ってきたかというと、他の数ほど分かりやすい判定方法でないからだ。

 7で割り切れる ⇔ 下の位から順番に1,3,2,-1,-3,-2を繰り返しかけて足したものが7で割り切れる

例えば、2317の場合、
 7×1+1×3+3×2-2×1=7+3+6-2=14=7×2
より、7で割り切れる。この例だとあまり計算が楽になった感じがしないかもしれないが、
239239456456のように、3桁ごとに繰り返す6桁の数が7で割り切れることなんかは、この判定方法を使うとすぐに分かる。
ついでに、ちょっとした応用問題も作ってみる。

【問題】下から1,7,14桁目以外が0であるような14桁の自然数で、7で割り切れるもののうち、最小のものを求めよ。
【回答】
下から1,7,14桁目の数をa_{1},a_{7},a_{14}とすると、題位の自然数7で割り切れるには、上に書いた判定方法より、
 a_1+a_7+a_{14}
が7で割り切れればいい。a_1,a_7,a_{14}をできるだけ小さくとるには、
 a_1+a_7+a_{14}=7
の場合を考えればよく、これを満たす自然数[tex:a_1,a_7,a_{14}]で題位の自然数を最小にするものは、a_{14}=1,a_7=0,a_1=6。([tex:10000000000006]は7で割り切れる。ここで、012個並んでいる。)

応用問題を作ったせいで、脇道にそれたが、判定方法の証明をやってみる。他の数で割れるか調べた時と同様に、1,10,100,1000,……7の倍数を使って表してみる。結果だけを書いておくと、

           1=1
          10=7×1+3
        100=7の倍数+2
      1000=7の倍数-1
    10000=7の倍数-3
  100000=7の倍数-2
1000000=7の倍数+1

となり、以下、7の倍数に1,3,2,-1,-3,-2と繰り返す。
よって、n+1桁の自然数Nは、
 N=a_n×10^n+a_{n-1}×10^{n-1}+……+a_1×10^1+a_0
      =7の倍数+(a_0+3a_1+2a_2-a_3-3a_4-2a_5+……)
より、N7で割り切れるためには、a_0+3a_1+2a_2-a_3-3a_4-2a_5+……7で割り切れればいい。つまり、下の位の数から順に、1,3,2,-1,-3,-2と繰り返しかけて足したものが7で割り切れるとき、元の数も7で割り切れる。