【割り算ネタ】2から11までの数で割れ切れるか、簡単に判定する方法
はじめに
『私は計算が苦手だ』
そんなあなたに、今回は割り算のちょっとした裏技を紹介しようと思う。
もちろん、計算が得意な人も、知ってるとさらに得すると思う。
今回紹介するのは、ある自然数がの数で割り切れるか楽に判定する方法だ。「楽に」というのは、なるべく計算する量を減らすという意味だ。例えば、やで割れるか調べたい場合には、とある足し算を繰り返すだけでいいし、の場合は、ある桁数より上の桁の数は無視して調べられるといった具合だ。
たいていの人は小学校で、で割り切れるか判定する方法を聞いたことがあるだろう。で割り切れるか調べる方法が一番知られているとして、知名度順に割る数を並べると、おそらく、
という順番になると思う。特に、で割り切れるかの判定方法は、本で見たことなかったので、今回の記事のために作ってみた。便利さはともかくとして、そこそこレアな方法だと思う。
今回の記事では、割る数がからのすべての場合の判定方法を紹介するので、なんとなく素因数分解したくなったときには、ぜひ試してほしい。
そして、この記事を読み終えるころには、整数問題のちょっとした問題とかも作れたりするようになるだろう。
2、4、5、8、10で割り切れるか判定する方法
ある自然数があったとき、のどれかで割れるか調べたいとする。
これらの数は共通して、割られる数の下桁~下桁までを調べればいい。
で割り切れる ⇔ の位が
で割り切れる ⇔ 下桁がで割り切れる
で割り切れる ⇔ の位がか
で割り切れる ⇔ 下桁がで割り切れる
で割り切れる ⇔ の位が
これらを証明してみよう。
まず、割られる自然数をの位とそれ以外に分けて
と表す。ここで、は以上の整数で、はからのいずれか。
より、第一項がの倍数なので、後は、の位の数であるがで割り切れれば(つまり、の位がならば)、自然数もで割り切れる。
同様に、で割り切れるかどうか調べたいときも、
より、がの倍数(つまり、の位がならば)、自然数はで割り切れる。
ここまでの証明のポイントになっているのは、と分解できることだ。そのため、かで割れ切れるか調べたいときは、の位より上の桁は計算に無視していい。
次に、で割れ切れるか調べる方法について説明する。この場合は、下桁を調べる必要がある。それは、やのときと事情が違って、はで割り切れないからだ。ここでは、の代わりにの分解を使うことになる。つまり、
と表せることに注目する。割られる数をの位との位とそれ以外に分けて、
と表す。ここで、は以上の整数で、はのいずれか。より、
と表せることより、第項はの倍数なので、がで割り切れればもで割り切れる。つまり、自然数の下桁がで割り切れれば、もで割り切れる。
で割り切れるかどうかを調べる場合は、で割り切れるかどうかを調べたときと同様にして、の分解()を使って証明できる。
最後に、ある自然数がで割り切れるかを調べるには、の位がの場合に限る。で割り切れるには、でもでも割り切れる必要があるので、これら両方の場合に許されるの位の数はに限られるからだ。
3、9で割り切れるか判定する方法
で割り切れるか判定する方法は次の通り。
で割りきれる ⇔ 各位の数の和がで割り切れる
で割り切れる ⇔ 各位の数の和がで割り切れる
試しに、がで割り切れるかやってみる。このとき、各位の和は
との倍数になるので、でもでも割り切れる。(実際、となる。)
もう少し大きな数の例で、の場合は、
より、で割り切れる。(実際、)
まず、で割り切れるかどうかの判定方法から証明してみよう。で割り切れるかどうかを調べた時のことを振り返ると、という「単位」がで割り切れるかどうかがポイントになっていた。
そこで、をで割ってみた場合を調べることから始める。すると、
となる。つまり、のべき乗はで割ると、余る数になっている。
そこで、ある桁の自然数を
と表す。ここで、整数はからのいずれか。ここで、等を使うと、
と表せる。ここで、第一項はの倍数なので、残りのがで割り切れれば自然数もで割り切れる。つまり、自然数の各位の数の和がの倍数ならば、自然数もの倍数になる。
同様に、で割れるかどうか判定する場合は、
を用いて、
より、第項がの倍数なので、残りのがで割り切れればもで割り切れる。つまり、自然数Nの各位の数の和がの倍数ならば、自然数もの倍数になる。
11で割り切れるか判定する方法
で割り切れるか判定する方法も、やの場合とそこそこ似ている。
で割り切れる ⇔ 「奇数桁の数の和」ー「偶数桁の数の和」がで割り切れる
試しに、の場合だと、
より、はで割り切れる。(実際、)
応用問題をつやってみよう。
【問題】下桁がの自然数で、で割り切れる最小の数は何か。
【回答】はの倍数でないので、桁の数を調べればいい。
千の位をとして、奇数桁の和ー偶数桁の和がの倍数となればいいので、
よって、が答え。(実際、。)
さて、この判定方法を証明してみよう。をの倍数を使って表してみる。
という風に、は、
となる。よって、桁の自然数は、
より、がで割り切れれば、もで割り切れる。つまり、自然数について、「奇数桁の数の和」ー「偶数桁の数の和」がで割り切れれば、自然数もで割り切れる。
7で割り切れるか判定する方法
さて、ここまででを除いて、からまでの数で割りきれるかの判定方法を紹介した。なぜを一番最後に持ってきたかというと、他の数ほど分かりやすい判定方法でないからだ。
で割り切れる ⇔ 下の位から順番にを繰り返しかけて足したものがで割り切れる
例えば、の場合、
より、で割り切れる。この例だとあまり計算が楽になった感じがしないかもしれないが、
やのように、3桁ごとに繰り返す6桁の数が7で割り切れることなんかは、この判定方法を使うとすぐに分かる。
ついでに、ちょっとした応用問題も作ってみる。
【問題】下から桁目以外がであるような桁の自然数で、で割り切れるもののうち、最小のものを求めよ。
【回答】
下から桁目の数をとすると、題位の自然数がで割り切れるには、上に書いた判定方法より、
が7で割り切れればいい。をできるだけ小さくとるには、
の場合を考えればよく、これを満たす自然数[tex:a_1,a_7,a_{14}]で題位の自然数を最小にするものは、。([tex:10000000000006]はで割り切れる。ここで、は個並んでいる。)
応用問題を作ったせいで、脇道にそれたが、判定方法の証明をやってみる。他の数で割れるか調べた時と同様に、をの倍数を使って表してみる。結果だけを書いておくと、
となり、以下、の倍数にと繰り返す。
よって、桁の自然数は、
より、がで割り切れるためには、がで割り切れればいい。つまり、下の位の数から順に、と繰り返しかけて足したものがで割り切れるとき、元の数もで割り切れる。