流れる空の中で数学を。

とある数学好きの「手作りすうがく」と「気ままな雑記」。

【証明】p+q=rのとき、√p+√q≡√r(mod n)ならば、n=2qとなること

問題

前回の記事で、予想を立てた。

 

sky-time-math.hatenablog.jp

これをn\gt 2の場合に証明できたので*1、この記事で以下に書く。

n=2qとなることの証明

\sqrt{2}+\sqrt{q}\equiv \sqrt{r}\equiv \sqrt{2+q} (\mod n)

両辺を二乗して、

2+q+2\sqrt{2q}\equiv 2+q (\mod n)

2\sqrt{2q}\equiv 0 (\mod n)

よって、2\sqrt{2q}nの倍数。

また、

x^2\equiv 2 (\mod n)

となるxが存在するので、ヤコビ記号の相互法則(第2補充法則)より、

nは偶数または、n=8k\pm 1と表される*2

(1)n=8k\pm 1の場合、

2\sqrt{2q}\equiv 0 (\mod n)

8q\equiv 0 (\mod n)

となるが、

0 \lt q\lt n \Rightarrow 0 \lt 8q\lt 8n

である。また、ある自然数lが存在して、

8q=ln

8q=l(8k \pm 1)=8kl \pm l

8(q-kl)=\pm l

従って、lは8の倍数である。

ここで、l=8sとおくと、

 8q=8sn\Rightarrow q=sn

となり、q\lt nなので、s=qでなければならず、これよりn=1が得られて、前提に矛盾する。

(2)nが偶数の場合、

n=2mとおくと、

2\sqrt{2q}\equiv 0 (\mod n)

2q\equiv 0 (\mod m)

ここで、q\lt n\Rightarrow 0\lt 2q \lt 2n=4mなので、

2q=m,2m,3mしかありえない。

従って、

q=3,m=2

m=2q

m=q

のいずれかである。①は\sqrt{2}+\sqrt{3}\equiv\sqrt{5} (\mod 2)の場合である。

②のときn=4q、③のとき、n=2qである。

k=1,2として、

y^2\equiv 2 (\mod 2^k q)

y^2-2\equiv 0  (\mod 2^k q)

ある自然数sが存在して、

y^2-2 =2^k q s

ある自然数zが存在して、y=2z

4z^2-2=2^k q s

2z^2-1=2^{k-1} q s

ここで、k=2とすると、

2z^2-2qs=1

となり矛盾。よって、k=1。すなわち、n=2qが示された。

 

p=2,q=3,r=5のとき、n=2のみが解であること

n=6が可能性として残っているので、その場合について触れておく。

x^2\equiv 2 (\mod 6)となる整数xは存在しない。よって、p=2,q=3,r=5の場合の解は、n=2のみである。

 

*1:n=2の場合も取り扱う。

*2:数論入門[山本義彦]p100参照