【高校数学】虚数iと虚数-iが異なることの証明【虚数とは?】
虚数の定義
虚数は方程式、
……①
を満たす解の一つとして定義され、虚数と呼ばれている。ところで、この虚数は
を満たす新しい数として定義される。この方程式の解は1つだけだろうか?それとも2つあるだろうか?
それを調べる第一歩は、①式を因数分解することから始まる。つまり、
なので、でなければ、解は2つあることになる。
素数2で割った余りと考えてみる
虚数を
という数を同一視したものだと試しに定義してみる。つまり、奇数の集まり全体を同一視したものを虚数だと仮に考えてみる。
すると、
となり、と重解を持つことになる。
さて、これは正しいのだろうか?
背理法
この手の問題を解く強力な数学的手法は背理法だ。つまり、として、矛盾を導く。矛盾を導くまでの過程、推論に間違いがなければ、最初の前提が間違っているという寸法だ。
まず、と仮定する。すると、
である。
よって、
となって矛盾が導ける。
よって、であることがわかり、これが
の解の全てであることが分かる。
法を2としたときの
の解
さて、法を2として2次方程式を見るとどうなるだろうか?このとき、
なので、上の議論からは矛盾は導けない。よって、重解が
から導ける。
法を奇素数
としたときの
の解
を考える。これは、2乗して、に合同になる数
は存在するかということになる。これは実は平方剰余の第一法則(ルジャンドル記号 - Wikipedia)として知られており、
のときは解が存在し、
のときは解が存在しないことが分かっている。
とたときの解を
と置いてみよう。
すると、の因数分解から
も解であることがわかる。
このとき、が重解を持つなら、
つまり、
となることがわかる。
と奇素数
は互いに素なので、
の逆数(逆元)が存在することがわかる(モジュラ逆数 - Wikipedia)。よって、それを
とかき、かけると、
となるが、これは、が
の解で会った事に矛盾する。
実際、
となり、矛盾。よって、と
は異なる。
結局、虚数は奇素数
としたとき世界の数なのか?
これは実数をどう拡張するかによってくる。
例えば、素数を考えるとき、方程式
は、となってしまい、解が存在しなくなる。同様にして、
を考えると、これは解を持たない。
新しい数を導入することで、もともとあった方程式の解の個数が減ってしまってはそんな気がするので、虚数は法をとした数とはしない方がいいということがわかるだろう。
法を
とした方程式
方程式を法を
として考えて、
としたときの解の個数を考えるのは興味深い問題だ。
実は、整数係数の楕円曲線
は2変数の3次方程式だが、法を
としたときの解の個数や解の重複の個数が、フェルマーの最終定理を解くときの鍵になっていたりする。
だから、あながち、法をとして方程式を考えることも無駄ではないのだ。
というわけで、常に視野は広く持っておこう!!