流れる空の中で数学を。

とある数学好きの「手作りすうがく」と「気ままな雑記」。

原始ピタゴラス数の冪乗和が平方数になるのは?

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FoxQからの出題第2回

事の始まりは、以下の私が作った問題である。

 これは、原子ピタゴラス数の3つ組の内、小さい2数をとってきて一般の冪乗和をとったとき平方数になるのはどんなときかという問題である。こちらは、@tyamada1093先生によって解かれた。

 

一方、次の問題も私が作った問題である。

 こちらは、解けないと思っていたが、@tyamada1093先生と@RiemannZeta2357氏によって、ものすごい力技で解かれてしまった。

@tyamada1093先生の解答は以下のものです。

 今回は、以上の問題を一般化した場合に何が起こるか数値計算で調べたので報告する。

30個の原子ピタゴラスの3つ組と対応する問題の解

原子ピタゴラス数の3つ組(A,B,C)とは、

C^2=A^2+B^2

を満たす互いに素な自然数の組(A,B,C)のことである。このとき、私が考えた問題の一般化は、

A^a+B^b

が平方数になる0以上の整数の組a,bを全て求めよ。』

である。今回数値計算に用いる原子ピタゴラス数は以下のサイトのものから最初の30組を使わせていただきました。

兵庫県立明石北高等学校天文研究部のピタゴラス数一覧表

https://www.hyogo-c.ed.jp/~meihoku-hs/club/astronomy-py.html

簡単のため、以下、Bを偶数とします。

[tex:]=(C,A,B)に対して、解(a,b)を原子ピタゴラス数の公式

C=s^2+t^2,B=2st,A=s^2-t^2

に現れる組s,tと合わせて、以下に書きます。

 (C,A,B),(s,t)\Rightarrow (a,b)の解

の形式で書いていきます。なお、今回の結果は、0 \le a,b \le 100となる指数の範囲でpythonで調べたものである。

(5,3,4),(2,1)\Rightarrow (1,0),(2,2) 
(13,5,12),(3,2)\Rightarrow (2,2)
(17,15,8),(4,1)\Rightarrow (1,0),(0,1),(2,2)
(25,7,24),(4,3)\Rightarrow (0,1),(2,2)
(29,21,20),(5,2)\Rightarrow (2,2)
(37,35,12),(6,1)\Rightarrow (1,0),(2,2)
(41,9,40),(5,4)\Rightarrow (1,1),(1,3),(2,1),(2,2)
(53,45,28),(7,2)\Rightarrow (2,2)
(61,11,60),(6,5)\Rightarrow (2,2)
(65,33,56),(7,4)\Rightarrow (2,2)
(73,55,48),(8,3)\Rightarrow (0,1),(2,2)
(85,77,36),(9,2)\Rightarrow (2,2)
(85,13,84),(7,6)\Rightarrow (2,2)
(89,39,80),(8,5)\Rightarrow (0,1),(2,2)
(97,65,72),(9,4)\Rightarrow (2,2)
(101,99,20),(10,1)\Rightarrow (1,0),(2,2)
(109,91,60),(10,3)\Rightarrow (2,2)
(113,15,112),(8,7)\Rightarrow (1,0),(2,2)
(125,117,44),(11,2)\Rightarrow (2,2)
(137,105,88),(11,4)\Rightarrow (2,2)
(145,143,24),(12,1)\Rightarrow (0,1),(1,0),(2,2)
(145,17,144),(9,8)\Rightarrow (2,2)
(149,51,140),(10,7)\Rightarrow (2,2)
(157,85,132),(11,6)\Rightarrow (2,2)
(169,119,120),(12,5)\Rightarrow (0,1),(2,2)
(173,165,52),(13,2)\Rightarrow (2,2)
(181,19,180),(10,9)\Rightarrow (2,2)
(185,153,104),(13,4)\Rightarrow (2,2)
(185,57,176),(11,8)\Rightarrow (2,2)
(193,95,168),(12,7)\Rightarrow (0,1),(2,2)

結果と観察

解の個数については、(s,t)から特に推察できることはできなかった。ただし、

(41,9,40),(5,4)\Rightarrow (1,1),(1,3),(2,1),(2,2)

だけが解を4つも持つことは特筆に値する。更に、問題を正の整数(a,b)に限れば、(41,9,40)以外の解は全て、(a,b)=(2,2)となるという驚くべき結果を得た。つまり、なんらかの理由で、(41,9,40)だけが(a,b)=(2,2)以外の解を3つも持つのであうる。もちろん、全てのピタゴラス数について調べた訳ではないし、全ての範囲の(a,b)について調べたわけではないから、これは予想に過ぎない。つまり、FoxQの予想として、

原子ピタゴラス数の3つ組の内、小さい2つをA,Bとしたとき、

A^a+B^b

が平方数となる正の整数の組(a,b)を全て求めよという問題を考えると、(a,b)=(2,2)以外の解を持つのは、(A,B)=(9,40)のみである。

が言えそうだ。