【近似解の見直し】ぺるせんたげさんの数学コンテスト【問Ⅱ】
ぺるせんたげさんの数学コンテストの問Ⅱの解と近似解
ぺるせんたげさん(@percentage011)が前回取り上げた問題の答えを公開してくれた。
数学コンテストのⅡ問目の解答例です
— ぺるせんたげ@数学コンテスト開催中 (@percentage011) November 3, 2018
間違いがあったら教えてください pic.twitter.com/MAfYZtIcwE
そこで、前回作った近似解と比較してみることにした。
まず、で比較してみる。オレンジが前回作った近似解で、青がぺるせんたげさんの厳密解だ。
次に、で比較すると、値のずれが目立ってくる。
特に、が大きくなると、近似解の方が明らかに大きな値を持つようになってきてしまっている。
このずれがどこからきたのかを考えていたのだが、おそらく前回の記事の(4)式の規格化定数を(6)式で計算したのがまずかったようだ。そこで、今回は規格化定数を本来の正規分布のものに戻すと、どれくらい近似が改良されるのかを見てみることにする。
近似の改良
前回と同様にして計算するが、サイコロの目の平均値が従う分布関数を
……(1)
と近似する。これ以降の計算は、前回の記事と同様である。
まず、規格化定数の値を見てみると、
……(2)
と前回のより5~6倍ほど小さくなる。*1これを見て、近似は(1)式の正規分布でした方が良いと反省した。改めて、での値を見積もると、
……(3)……(4)……(5)
前回の記事と同様に、これらの値から求める確率は、
……(6)
となる。これにパラメータを用いた因子をかけて補正することを考える。つまり、
……(7)
として、の小さい値からパラメータを決定して、最終的な近似式とする。
より、
……(8)
より、
……(9)
より、
……(10)
以上より、
……(11)
と近似式が求まった。
改良版近似式と厳密解の比較
改めて作った式と厳密解とでを比較してみる。
前回と同様ほとんど違いが見られない。
次に、を見てみる。オレンジが前回の近似式で、緑が今回の近似式、青が厳密解である。
が大きいところでの値が若干良くなっているくらいで、思ったほど改善されなかった。さらに大きいくらいまでを見てみる。
厳密解との差がさらに大きくなった。のでの収束が近似解の場合かなり遅く、厳密解だとかなり早いことがわかった。これは(7)式の形で近似していることからくる限界だろう。
そして、厳密解の場合のの値はどうやら0.1よりも小さいようなので、前回の近似で得られる
……(12)
は明らかに不適だとわかる。今回の近似では、十分大きなをとる必要があり、収束も遅いものの、
……(13)
なので、まだマシだと言えるだろう。厳密解の値を見ていても、私には本当のの値がわからないので真実は謎のままだ。
*1:この記事では、有効数字3桁で計算していく。