【問Ⅰ】ぺるせんたげさんの数学コンテスト
追記(2018/10/31):解法は本質的に変わりませんが、(5)式まわりを微妙に修正しました()。
ぺるせんたげさんの数学コンテストの問Ⅰ
今回も前回に引き続き、ぺるせんたげさん(@percentage011)の数学コンテストの問Ⅰを解いていきたいと思います。
数学コンテストを開催します!
— ぺるせんたげ@数学コンテスト開催中 (@percentage011) October 27, 2018
以下の問題を考えてみてください
制限時間とかは特にないです
最初に全て解けた人をめっちゃ褒めます
問題制作者:ぺるせんたげ @percentage011
協力してくれた人:SOx @SOx_S_R_M pic.twitter.com/sejhERZTdR
もし、間違っていたり、解答が不十分だったら優しく教えてくださると助かります。
一回微分からはじまってわかること
問題は、次の関数を回微分せよというもの。
……(1)
いきなり、回微分するのはきびしそうなので、1回微分してみる。合成関数の微分公式より、
……(2)
この式を観察すると、の多項式を係数とするの和の形(は整数)になっていることがわかる。この構造は、繰り返し微分しても明らかに変わらない。また、回微分したときに出てくるはであることもただちにわかる。回微分したときのの係数が1であることもすぐにわかる。
したがって、回微分した時の関数形は、ある多項式を用いて、次のように表せることがわかる。*1
……(3)
以下では、このを求めていく。これが求まれば、の回微分が求まり、問題が解けたことになる。
の漸化式
まず、に関する漸化式を求めるために、(3)式をもう1回微分してみる。
……(4)
ここで、(2)式より、1回微分の箇所は計算できて、
……(5)
と求まった。上式と、(3)式でと置き換えたものと比較することで、
……(6)
を得る。ここで、をに置き換えて、と自然数に対して、
……(7)
というに対する漸化式を得た。
数列から母関数へ
の漸化式(7)を直接解くのは難しそうなので、次のように母関数を定義する。
……(8)
漸化式(7)を用いて、母関数を求めていきたい。準備として、とを計算しておく。
……(9)
……(10)
次は、(8),(9),(10)式を使って母関数を求めていく。漸化式(7)を用いることで、
……(11)
ここで、(3)式でとおくことで、すなわち0回微分を考えることで、
……(12)
とわかる。ここで、はクロネッカーのデルタである。(11)式を整理して、
……(13)
ところで、(2)(3)(5)式から、明らかに
……(14)
であるので、は、
……(15)
と求まる。(13)式で の場合を考えると、となるので、
……(16)
よって、(15)式より、母関数が、
……(17)
と求まった。
母関数から係数を取り出す
後は、母関数を再びの冪で展開してその係数を調べれば、母関数の定義式(8)よりが求まる。そのために、任意の自然数に対して成り立つ次の展開式を用いる。
……(18)
この展開を(17)式に適用すると、
……(19)
ここで、無限和をとる変数はからまでの個ある。(19)式のを除く因子をかけ合わせて、の係数にまとめ直すと、
……(20)
となる。ここで、内側の総和は、からまでの和が条件を満たすような0以上の整数の組み合わせ全てについてとる。この式を母関数の定義式(8)と比較して、
……(21)
が得られた。上式に現れる総和は、個の整数に対して、条件を満たすもの全てについてとる。
以上より、(3)式に戻るとその展開係数が全て求まったことになるので、の回微分が求まった。
*1:以降、を単にと変数を省略して書く場合があることを注意しておく。