流れる空の中で数学を。

とある数学好きの「手作りすうがく」と「気ままな雑記」。

【FoxQの予想の検証】「原子ピタゴラス数の冪乗和が平方数になるか?」問題

数学関連の絶版本・品切れ本をコチラから購入できます!

原子ピタゴラス数の冪乗和が平方数になるか?

原始ピタゴラス数は、互いに素な自然数s,tで、偶奇が異なるものを用いて、

C=s^2+t^2,B=2st,A=s^2-t^2

で全て表される。前回の記事で、

原始ピタゴラス数の内、小さい2つをA,Bとする。このとき、A^a+B^bが平方数になるような自然数(a,b)を求めよという問題を考えれば、(a,b)=(2,2)以外の解を持つのは、(A,B)=(9,40)に限る。

というFoxQの予想をたてた。
今回の記事では、この予想をより大きなピタゴラス数に対してチェックしていく。

C\le 2\times10^6までの原始ピタゴラス数のチェック

今回はpythonによる数値計算*1で、s,t\le1000の場合について、指数1 \le a,b \le 20の全ての組について調べた。なお、プログラムは以下にて公開している。

github.com

以下が、その結果である。計算の進捗状況を確認するため、sの値を10ごとに出力している。解(a,b)=(2,2)以外を持つA,B、その解の組(a,b)*2、解の個数の順に出力している。最後に、解(a,b)=(2,2)以外を持つA,Bのリストを出力している。

gist84b6566a8d532ed26c56fa3b53da08e8

 

予想に反して、解(a,b)=(2,2)以外を持つA,Bは多く見つかった。FoxQの予想の反例が多く得られたのである。ところが、計算結果をよくよく見てみると、(A,B)=(9,40)を除き、解の個数が2つになっているという驚くべき性質が発見された。

新FoxQの予想

そこで、予想を新たに次のように変更する。

原始ピタゴラス数の内、小さい2つをA,Bとする。このとき、A^a+B^bが平方数になるような自然数(a,b)を求めよという問題を考えれば、(a,b)が解を3個以上持つのは、(A,B)=(9,40)の場合に限る。それ以外の場合の解はたかだか2個である。

この予想が正しいかどうかはまだわからないが、プロまたはアマチュアの数学者の証明を期待して待っている。最後に、C\le 2\times 10^81 \le a,b \le 10で計算した結果を載せておく。*3計算の進捗状況を確認するため、sの値を100ごとに出力している。それ以外の出力に関しては上のプログラムと同様である。

gist1f305e2c5abc78b7f3fda7ca37aeab46

この結果は、新しい予想が成り立つことを支持している。

 

 

*1:python入門勢なので、多少プログラムが冗長であるが、そこは勘弁願いたい。

*2:(a,b)=(0,0)が出ているのは仕様です。

*3:ノートPCで、2時間以上かかった計算である。