【問Ⅱ】ぺるせんたげさんの数学コンテスト【近似解】
ぺるせんたげさんの数学コンテストの問Ⅱ
今回はぺるせんたげさん(@percentage011)の数学コンテストの問Ⅱの「近似解」を作ったので、それを紹介したいと思います。問題文は、以下のツイートを参照してください。
数学コンテストを開催します!
— ぺるせんたげ@数学コンテスト開催中 (@percentage011) October 27, 2018
以下の問題を考えてみてください
制限時間とかは特にないです
最初に全て解けた人をめっちゃ褒めます
問題制作者:ぺるせんたげ @percentage011
協力してくれた人:SOx @SOx_S_R_M pic.twitter.com/sejhERZTdR
私の実力では近似解*1を出すだけで精一杯だったので、厳密な解き方がわかった方がいたらぜひ教えてください。
個のサイコロと平均値
個のサイコロをふって、出た目の総和がの倍数になるのは、総和がの6通りの場合である。よって、総和がそれぞれの値になる確率を見積もって、それらを全て足し合わせれば、それが求める確率になる。
サイコロの個数が多い場合を考えて、総和の値を取り扱う代わりに平均値に着目することにする。つまり、サイコロの目の平均値がちょうどになる確率をとすると、それらの和が求める確率になる。
……(1)
1個のサイコロを多数回ふった時の期待値を、分散をとして、定義より計算すると、
……(2)
……(3)
となる。各々のサイコロは独立同分布に従うとすると、中心極限定理より、サイコロの個数が十分多いとき、サイコロの目の平均値の分布は正規分布で近似できる。その分布関数をとすると、
……(4)
と近似できる。ここで、は確率分布関数の規格化定数である。ただし、が有限である限り、平均値は
……(5)
の範囲になければいけないので、正規分布の定義域を本来のからに制限しなければいけない。この意味で、いくらかの任意性の残る近似をする必要があり、ここでは規格化定数の値を変更することにした。*2すなわち、規格化定数を
……(6)
……(7)
となる。
平均値がちょうど1,2,3,4,5,6に一致するとは
個のサイコロの目の平均値がとりうる値の場合の数は、目の総和の取りうる場合の数に等しい。*4すなわち、
……(8)
通りの場合がある。これより、の区間を等分して取り扱う。すなわち、ある1つの区間は、平均値がある1つの値になる場合に相当し、各区間の幅の値をとおくと、
……(9)
となる。そして、1,2,3,4,5,6の値を含む区間におけるの積分値を用いて、と見積もることができる。すなわち、として、その確率は、
……(10)
が十分大きいとき、分布関数が連続なため、ある1つの着目した区間内におけるの値は一定値と見なして近似できる。つまり、
……(11)
と近似できる。したがって、(10)(11)式より、
……(12)
が得られる。これらの値を数値計算で見積もると、
……(13)
……(14)
……(15)
と見積もられらた。*5従って、(1)(12)式より、が十分大きいとき、求める確率は有効数字3桁で、
……(16)
に漸近する。このままでいくと、この式はが十分大きいときに良い近似となるが、が小さいときは値が大きくずれる可能性がある。そこで、この式にある適当な補正の因子をかけてみることにした。*6具体的には、3つのパラメータを導入して、
……(17)
と近似してみた。これらのパラメータをが小さいときの値、つまり、から決定し、最終的な近似式とする。
が小さいときの確率
(i)の場合、明らかにどの目が出ても1の倍数なので、
……(18)
(ii)の場合、具体的に全ての場合を書き出すことで、
……(19)
とわかる。
(iii)の場合、サイコロを2つふった時点での目の総和が、①3の倍数になるとき、②3で割ったとき1余るとき、③3で割ったとき2余る確率はそれぞれ等しいことが、具体的に全ての場合を書き下すことでわかる。①の場合、3つ目のサイコロの目が3か6ならば、3つのサイコロの目は3の倍数になる。同様にして、②③の場合も、3つ目のサイコロをふったとき、それぞれ2,5と1,4がでれば、目の総和が3の倍数になる。以上をまとめると、
……(20)
であることがわかる。
近似パラメータの決定
(17)式のパラメータをの時の値を求めて決定する。
のとき、(17)(18)式より、数値的に見積もって、
……(21)
となる。次に、のとき、(17)(19)式より、数値的に見積もって、
……(22)
となる。最後に、のとき、(17)(20)式より、数値的に見積もって、
……(23)
となる。以上をまとめて、最終的な近似式を書き出すと、
……(24)
となる。
の見積もりとの漸近的なふるまい
得られた近似式を用いて、試しにの場合を見積もってみると、
……(25)
となり、に非常に近いことがわかる。
これより、は、が小さいときは、おおよそとなるが、が大きくなるにつれてからずれていき、(16)式の値に近づいていくことがわかる。での漸近的なふるまいを評価すると、
……(26)
となる。言い換えると、次のような1より小さい極限値が存在することが予想される。
……(27)