流れる空の中で数学を。

とある数学好きの「手作りすうがく」と「気ままな雑記」。

ランダムな係数の多項式の零点分布

多項式の零点~指数・対数関数からランダム多項式へ~

 以前、指数関数と対数関数を多項式で近似したときの零点の分布を調べたことがある。

sky-time-math.hatenablog.jp

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  そこで使ったプログラムを使って何か面白いことができないかと思っていたので、今回はランダムな係数の多項式の零点を調べてみることにした。以下のサイトに、とあるランダム多項式の零点は円形に分布すると書いてある。

www.singularpoint.org

 さて、本当にこんなに綺麗に円形に分布しているのか、非常に気になったのでやってみることにした。ただし、簡単のため、今回使う乱数は一様乱数にしたし、最高次の係数も1に規格化してあるという違いはある。特別な乱数の分布の場合だけ円形になるのかなどの疑問も残る。さて、どうなるだろうか?

ランダムな係数の多項式~パラメータ等の定義~

 今回は、N多項式で、最高次の係数が1のものを考える。

x^N+a_1 x^{N-1} + \cdots +a_N……(1)

 ここで、a_j (j=1,\cdots,N)はそれぞれ独立な乱数で、 (-W/2,W/2)の間に一様に分布しているものとする。今回は、Wの値としてW=0.02,2,20を取った。乱数を変えたときの零点の分布をまとめてみるために、N次方程式を繰り返し生成し、零点を計算した。N毎に、零点の総数が3000個になるように多項式の個数を用意し、計算を行った。

W=2の場合

 まずは、乱数の値がとる幅をW=2にして、2次方程式から5次方程式の零点の分布を見てみよう。画像中の「Seeds=」は方程式の総数を表していて、「N=」は多項式の次数を表している。

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 実軸上を走る零点はどの次数の場合にもあるが、その他の零点は次数が上がるにつれて、円形に近づいて行っているように見える。そこで、次数をN=10,20,30まで上げてみた。

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 以上のように多項式の次数を上げていくと、円形に分布する零点が現れることがわかった。

W=0.02の場合、

 次にやったのは、乱数の幅を小さくとることだった。W=0.2の場合もやったのだが、W=0.02の場合の方が零点の分布がより特徴的で最も面白かったので、そちらを載せることにする。W=2の場合との大きな違いは、多項式の次数が小さい場合に顕著に表れる。

 それでは、次数がN=2,3,4,5の場合を見ていこう。

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 明らかに、W=2の場合とは異なる零点の分布が見て取れる。N多項式の場合、2N-2個の塊が零点の分布として現れるのだ。そして、中央の「空白」は円形になっているように見える。なんとも不思議である。このような分布が現れる理由を説明できる方がいたらぜひ教えてください。
 N=10,20,30の場合も見ていく。すぐ下にあるように、N=10の場合は、なんとか、上下に9個ずつの塊があるのが見える。

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 そして、次数を増やしていくと、零点の分布はやはり円形に近づいていく。

W=20の場合

 最後に、おまけとして、W=20の場合もやってみた。N=2次から5次までをまずはみてみたが、この場合は最初から円形に近い分布が見て取れた。(縦横の比が違うので、楕円っぽくみえますが値はおおよそ円です。)

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 最後に、次数をさらに大きくした場合を見て終わりにする。

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次数を上げると、だんだん零点の分布が原点に絞り込まれていく傾向があることがわかった。また、ここまでを通して、Wが小さいときに見られた円の内部の空白が、W=20では埋まってしまうこともわかった。