3が合同数でないことの初等的証明
追記(2018/10/07):(14)式から(15)式に移るのに飛躍があったので、証明には修正が必要なようです。うまくいったら、また更新します。
合同数とは
直角三角形の斜辺を、その他2つの斜辺をとする。
このとき、が全て有理数で、かつ、その直角三角形の面積が自然数となったとき、その自然数を合同数という。
例えば、とすると、三平方の定理
……(1)
が成り立つので、これらの辺の長さを持つ三角形は直角三角形で、その面積は、
……(2)
となるので、は合同数である。
Mathpower2018で聞いた宿題
現在、絶賛開催中のMathpower2018の「意欲的な中高生に贈る数学の話」でこの合同数の話題が取り上げられた。そこで、以前「数理空間トポス」の宿題として、
「3が合同数でないことを(初等的に)証明せよ。」……(3)
という問題が出題されたということだ。今回の記事では、これを大人げなく解いてみる。
もし、間違いなどあれば優しく指摘してくださるとありがたいです。
3が合同数でないことの初等的証明
背理法を用いる。3が合同数であったと仮定する。すなわち、面積が3になるような直角三角形で、三辺の長さが有理数であるものが存在したと仮定する。即ち、
……(4)
……(5)
を満たす有理数が存在したと仮定する。(4)(5)式の両辺をで割って、
……(6)
……(7)
を得る。(7)式を(6)式に代入して整理すると、
……(7)
となる。ここで、を既約分数で表す。つまり、
……(8)
……(9)
とする。ここで、と、とは互いに素な自然数である。つまり、
……(10)
……(11)
とする。(7)式の両辺にをかけると、
……(12)
ここで、右辺がの倍数であるので、左辺もの倍数であり、両辺をで割っても自然数の項のみが現れる。
同様に、
……(13)
……(14)
などと変形してやると、(13)(14)式の右辺がそれぞれ、の倍数であることがわかる。結局、(12)式の各項はで割り切れることがわかる。したがって、
……(15)
という自然数のみからなる等式を得る。特に、が互いに素であることから、
……(16)
より、
……(17)
を得る。また、
……(18)
であるので、の値の候補を
……(19)
と絞り込める。そして、
……(20)
であることも注意しておく。
後は、これら全てのの値について、矛盾を導けば証明は完成する。
(i) の場合、(15)式から
……(21)
となるが、37は平方数でないので矛盾。
(ii) の場合、(15)式から、
……(22)
となるが、13は平方数でないので矛盾。
(iii) の場合も、同様に、
……(23)
となり、矛盾。
(iv)の場合も、同様に、
……(21)
となり、矛盾。
以上より、全ての場合について矛盾が得られたので、背理法の仮定が偽であったことになり、3は合同数でないことが示された。